【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第19章 海軍の御用
※レイン視点
俺は海軍の船の前で出航を待っていた。クザンさんが思ったより早く船に戻った事と女連れだった事で海兵達がパニックになり出航準備が整うまでにもう暫く時間が掛かるようだ。
"大切なもんは自分で守れ"
クザンさんに言われた言葉。船から少し離れた所で海を眺めているミスティを見つめながら今までの事を考えた。
あの夜、アイツがいきなり部屋に居た事から始まった予想外な状況と不意打ちの連続。俺の名前を呼んだりそれに…
"お帰りなさい"
あれは正直キタな。あの時もそうだった。もう1年も前か…とアラバスタでの事を思い出した。
──1年前のアラバスタ
任務でとっていたホテルの部屋にロゼを残し出掛けた。アイツも任務で来ているから俺がホテルに戻った頃には居ないだろうと思いメモのみ残した。夜になりホテルに戻ると、受付の主が俺に声を掛けた。
「兄ちゃん、彼女帰ったよ?良かったの?」
直ぐに誰の事を言っているのか分かった。彼女ではないが。
「…あぁ、向こうも忙しいので仕方ないです。」
「そうかい?なら仕方ないな。彼女、兄ちゃんに何かしてやりたかったみたいで色々考えてたけど結局何も出来ないって凹んでたなぁ。良い子だね。大事にしなよ~」
「…はい。」
話を切り上げて部屋に戻ろうとした俺に主が思い出したように再び声を掛けた。
「あぁ悪い。忘れるとこだった。あの子から伝言預かってたわ!」
「…伝言?」
「お帰りなさい、って伝えて欲しいって。」
「…っ!」
俺はその時柄にもなく顔が赤くなっていたと思う。一気に熱を持ったのが分かった。片手で顔を覆い恨み言を呟いた。
「あの野郎…俺をどうしたいんだ」
昨夜、無理矢理鎮めた自身が限界を迎えた。
──
「あの時は辛かったな、色々と。」
諜報部員は潜入がメインだ。その為、誰かが待つ家に帰ることは基本無い。だから俺は"お帰り"なんてのは任務を終え本部に帰還した時しか言われた事が無い。それなのに、アイツはぶっ込んできた。
今回だってそうだ。不意打ちで言われたせいで我慢出来なかった。だが…
「彼女…ではない。まだ。」
俺はアイツの気持ちに応えていない。俺達はCPだ。アイツの言葉を借りるならいつ死ぬか分からないから大切な人は要らない。
「そこについてはお前と同感だ…ミスティ。」