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【呪術廻戦】致死量の呪縛

第4章 水魚之交


耐えきれずにクスりと小さく笑みを洩らした美代に、宿儺はあからさまに不機嫌そうな顔をした。

「一々気に障るなお前は。余程痛い目に遭いたいと見える」
「……痛いのは嫌いだけど、宿儺がそうしたいならしてもいいよ」

それは最上級の愛の告白でもあった。
殴られようとも、蹴られようとも、刺されようとも構わない。それこそ、食われてしまったとしても、美代はきっとこの男の腹の中で歓喜に震えるだろう。

「まぁ、元よりお前の意思など関係ない」

それ以上言葉は必要無いとでも言うように、宿儺の指が美代の喉から顎にかけてをゆっくりと這う。戸惑い見つめると、赤く光る傲慢な瞳に視線を奪われた。くらり、と景色が揺れる。その瞳に見つめられると、自分が自分ではなくなってしまう様な気がして、美代は耐えられずにその視線から逃れるように顔を背けた。堪らなく、恥ずかしかったのだ。

「なんだ、俺を拒むつもりか」

声色こそ普段と変わらないものの、見下ろされた瞳はあまりに冷たかった。
美代は焦って首を横に振る。

「ち、違うよ……!そうじゃなくて!」
「では、何だ」
「……なんか、恥ずかしい、から」

宿儺は意味が分からん、とやはり不服そうな顔をした。当然彼が美代の声に耳を傾ける筈も無い。
 彼は一つ溜息を落とした後、美代の顎を掴み上げるとそのまま唇を重ねた。あ、と息を飲む間もなかった。触れ合った部分のどこよりも熱を帯びていて、火傷してしまいそうになる。薄く繊細な皮膚を擦り合わせると小さな音が奏でられて、それにまた美代は羞恥を覚えた。
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