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【呪術廻戦】致死量の呪縛

第4章 水魚之交



"_____まさかとは思うが、血で贖うなどと戯けたことを考えているのではないだろうな。
お前の生死は俺が決める。俺の傍らで、俺の名を呼んで死ね。それ以外は認めん。"

それは、美代が覚醒した日の夜のことだった。
深い眠りに誘われて意識を落とし、宿儺を失ったその日。
最後に聞いた宿儺の言葉だった。



* * *



夢、と呼ばれるものには覚えがあった。
いつも姿見が見えぬ何かに見下ろされる夢だ。五条がそのことを言っていたのか分からないが、美代の心当たりはそれだけだった。しかし、何がきっかけか、ここ最近その夢を見ることはぱたりと無くなった。
もしかしたら、宿儺が手元に無いことが関係しているかもしれない。夢を見るときは、いつだって宿儺の存在を強く感じる時だった。
生きる上での指標でもあった彼は、正しく美代が物事を判断するにも欠かせない存在だった。自我は彼のものであり、またそれは美代の生死を決めるもの。

______もし、もう一度その夢を見れるのなら。

きっと、この呪いは解かれるに違いない。美代が全てを拒絶すれば、何もかも元通りになる。確信の無い確信を感じながら、美代が微睡の間を彷徨っている時だった。


「早く落ちろ。お前の在るべき場所はそこではない」


偶然のように、宿儺の声がした。
____あぁ、これは夢だ。美代はそんな確信を抱きながら覚醒を始める。ようやく待ち望んだ声を聞けて、焙り尽くす様な激情が美代の心を燃やし、意識を無理やり奪われるのを感じていた。

「あ……」

目が覚めて初めに視界に映り込んできたのは、頭蓋の山だった。
そして、いつも見上げても見上げても広がっていた闇は祓われており、頂の景色を到頭仰ぐことが出来たのだ。
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