Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第50章 トカゲ
「あなたの命はあなただけのものじゃない。簡単に捨てるようなことを言わないで。死んだあの子たちに報いたいなら、最期まで生き抜いて。3人の親友の見られなかった世界を見ていくことが、残されたあなたの役目。それに…」
ルーナはフロックを一瞥してから、再度クラムに視線を戻した。
「ここの墓に埋まっている、全員の仇を討つのは、私たちに任せて。」
クラムは、目を見開いてルーナとフロックを交互に見る。
2人は同じ顔をして同時に力強く頷いた。
その気迫は、空気が揺れるほど本気で凄まじく、クラムは鳥肌がたち始めるのを感じるほどだった。
「ほん…とに…俺は何も…」
「あなたは何もしなくても、世界はこれから変わります。確実に…」
フロックが目を細めて強く言い放つ。
「そう、だからクラム、あなたは私たちを信じてくれているだけでいい。」
ルーナはそう言って、最後にニコリと笑った。
懐かしい、あのときのままの優しい笑みだ。
自分にキスしてくれていたときもこの笑みだった。
クラムは様々な複雑な感情が入り交じり、初めて文字通り頭の中がぐちゃぐちゃになる感覚がした。
そして、耐えきれなくなった心はそれを逃がすためか、涙を流し始めた。
もしもこの墓地に、数々の魂が宿っているならば、ここに佇む3人をどのような思いで見ているだろうか。
ルーナの心はこの瞬間から、迷いというものを消し去った。
固い覚悟と、悪魔としての責務だけを胸に。
3人の隣では、1匹のトカゲが不気味に墓石を登っていた。