Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第50章 トカゲ
ジークの命を受けた義勇兵、イェレナたちによる世界情勢・技術の供与によってもはやここパラディ島は飛躍的に発展していっている。
ジークの要求は、自身をここに亡命させ、エレンと引き合せること。
その対価として、
この島の安全を保証、武器や最新技術の提供、友好国との橋渡し、マーレへの情報工作の支援…といったところである。
そのジークの3つの秘策としては、
地ならしの実験的活用にて世界に破壊力を見せつけること。
ヒィズル国の介入によってパラディ島の軍事力を世界水準に底上げすること。
始祖の巨人と王家の血を引く巨人、両者の保有者の継続的な維持…
ジークの獣の巨人は王家の血を引く者へと継承。
王家の血を引く者は、13年の任期を終えるまで可能な限り子を増やすこと。
受け入れがたくも信じ難い数々の内容に、誰もが混乱していた。
それと共に当然、兵政権や上層部はジークを信用できず、今でも決断が先送りとなっている。
世界から100年の遅れがあるこの島では分からないことが多すぎる。
分からないことがあれば、調べて理解しに行けばいい…
そう言って、マーレに拠点を設けた潜入調査を計画したのはハンジだった。
「ルーナ…本当にいいのかい?」
ハンジが行く以上、今までエルヴィンの時から団長補佐をしてきた指揮系統が務まるルーナには兵団に残っていてもらわなくてはならない。
しかし、この島の人類最強リヴァイという唯一の盾と矛を護身としても連れて行く以上、しばらく2人を離れ離れにさせてしまうことにやはり戸惑いは隠せない。
バリスに残っていてもらえればどうにか…とも思ったのだが、ルーナは顔色ひとつ変えず、さぞ当たり前のように承諾した。
「大丈夫だよハンジ。私がここに残ってなくてどうするの?行ってきて。」
そしてリヴァイも、何食わぬ顔で了承していた。
最強の夫婦と謳われるようにまでなった2人は、以前よりも格段に信頼関係と絆が深まっているのは明らかで、まるで恐れるものや不安が何もないかのようにハンジの目には映る。
そしてその姿にはなにより勇気づけられる。
だからもう何も言うことは無かった。