Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第43章 神と善悪
「リヴァイ兵長もたくさん部下や仲間を失ってきて辛いはずなのに、それでも顔色ひとつ変えずに強く逞しく見えるのはきっと、僕たちに対してそうあるべきだという象徴を示しているのだと思ってるんです。だから僕たちの知らないところでは…あの人はきっと…」
知っている…
ルーナは心の中で呟いた。
あの人は本当はとても脆くて繊細なことを知っている。
それでも人類最強として、上に立つものとして、そんな姿は一瞬たりとも見せないようにしている。
その強靭なまでの力と精神力はどこから来るのだろう…
「だからリヴァイ兵長にルーナさんという存在がいて安心しています。きっとあの人がそういられるのはあなたのおかげですから」
一瞬心の中の言葉が漏れていたのかと思い目を見開く。
しかしバリスはなに食わぬ顔でまた続けた。
「そんな兵長の姿に励まされて僕はまた立ち直れたんです。それで改めて兵長に謝りに行ったんですが、そしたらこう言われました。
"打ちのめされたかどうかではなく、立ち上がったかどうかが問題だ"…と。だからお前はこの先も成長し続けるだろうって…」
この時の言葉がバリスは一生忘れられない大切な宝だと言った。
「だから僕はリヴァイ兵長に最期までついて行きますよ。僕はあの人に心臓を捧げていますから」
ルーナはニッコリと笑って言った。
「じゃあバリスもリヴァイのことを愛しているんだね。無償の愛で。」
その言葉に、バリスは一気に顔を赤らめて沈黙した。
しばらくしてルーナは笑いバリスも笑った。
そうしてまた食事をしながらお喋りをし始める。
その和気あいあいとした様子を、リヴァイは扉の隙間から見ていた。
何を話しているのかまでは聞こえないが、その様子に、安堵と共に微妙に複雑な心境にもなる。
覗き見なんて柄にもないことをしてしまったと思って足早に部屋に戻る。
そしてエルヴィンのマントを羽織り立体機動を装備する。
ルーナから奪い返したナイフと薬を忍ばせると決心したように兵舎を出た。