Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「私の名前はルーナ・アッカーマン。
また来るから。その時は、私と一緒に来てね。」
3人は何も言わずに、まるで不思議なものを見るかのような表情をしていた。
初めに会った時に見た、敵に向けるような憎悪一色の目ではなかった。
本当は普通の無垢な子供なのだ。
子供に罪はない。
悪いのはいつだって自分達大人なのだ。
「ディーター、今日は本当にありがとう」
「いや…俺も結構いい暇つぶしになった」
ルーナは笑みを浮かべながら手を差し伸べた。
ディーターは一瞬驚いた顔をしたが照れくさそうに握り返してきた。
「ディーターよかったらいつかあなたも…地上へ出てみない?」
「…あんたと悪魔ってのをやりゃいいのか?」
「そうよ」
ディーターは悩むように腕を組み始める。
チラチラとルーナを見てから、蚊の鳴くような掠れた声で呟いた。
「…あんたとだったら天使にでも悪魔にでもなれる気がするな…」
「え?」
「いやなんでもねぇ。気をつけて帰れよ」
全く聞こえなかったというようなルーナを無視してディーターはルーナの背を押した。
「うん、またきっと会いましょう」
「あぁ」
出口付近でふと振り返った時のルーナの顔に、ディーターはハッとする。
眉を寄せ、切なそうな悲しそうな、あまりにも儚げな、なんとも言えない表情が、地上からの朝日で照らされていた。
そうか、もう朝なのか…
眩しさに目を細める。
あまりにも神々しいその姿が、ルーナが去った後でも瞼に焼き付いて離れずいつまでもそちらを見ていた。
神とはあんなかんじなのか?
眩しいくらいの光に包まれていたあの表情の裏には、悪魔がいるのか?
ディーターは手当された首の傷口に手を置いた。
神…悪魔…天使…巨人…植物…動物…人間…
この中で一番分からないものは、もしかしたら人間なんじゃないかと思った。
そして残虐非道なのもきっと…