Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第40章 博打
「俺の博打も…たまには当たるのかもしれねぇな…」
俺の選択は間違ってなかったと…
悔いがない方を選んだんだと…
今はそう思えるような気がする。
「・・・ルーナの博打も当たるといいんだが」
「あ?」
「いや、なんでもないさ。」
エルヴィンの笑みがランプの炎で寂しげに揺れていた。
「リヴァイ…ありがとう」
なにがだ。
礼を言われるようなことをしてきたつもりはない。
礼を言わなきゃならないのは俺の方なんじゃねぇのか…
「俺は…誰かに感謝されてぇと思ったことはねぇ。むしろそういった言葉を言われる度に居心地悪くなって仕方ねぇんだ。…世間は英雄だなんだと捲し立てるが…言ったろ、ここにいるのもドブみてぇな場所にいたくなかっただけ。外への憧れだ。」
「それで充分だ。リヴァイ。」
そういえばこいつの充血していた目は治ったのだろうか?
もう薄暗いのでランプの灯りだけでは確認する術がない。
「ふー…なんだか今夜は眠れそうにないな…」
エルヴィンがソファーに深く体を沈めて言った。
「てめぇはいつも張り詰めすぎだ。きちんと寝ろ。間違っても机に向かって寝んじゃねぇぞ」
「はは、心配してくれていたのか。…善処するよ…」
「眠れねぇなら巨人でも数えてろ」
「っ……それはさすがに余計眠れなそうだな」
エルヴィンが苦笑いして言うと、リヴァイは真剣な顔つきになり鋭い眼光がランプの炎で揺れた。
「そしたら全部俺が削いでやる」
エルヴィンはハッとした表情になったが、徐々に眉をひそめて淋しげな笑みになった。
「……なるほどな…
お前が空を舞う姿を夢に見るのなら…悪くないな」
「あぁ。悪くねぇだろ…てめぇはこれからも、ずっとその夢を見ろ」
そう言って部屋を出る時に一瞬振り返ると、そこにはここに入ってきた時と同じように窓の外をボーっと眺めているエルヴィンがいた。
また涙を流しているのかは…
この薄暗さではもう分からなかった。