第7章 第32回壁外調査

うわあああああああああああああああああああ！！！！！！！！


まるで自分が発している声とも思えない叫びを発しながら思いっきり刃を巨人の目に投げつけた。


刃はくるくると回り、巨人の両目を引き裂いた。

視界を奪われた巨人はグラグラと体を揺らし立ち止まった。

その瞬間すかさず立体機動で身体を引き上げ巨人のうなじを削ぐ。
蒸気を上げて倒れた巨人を一瞥するとすぐにみんなの姿を探した。


気付いた時には遅かった。
馬の下敷きになって動けないファーランを助けようと戦っていたイザベルが後方から来た巨人に押しつぶされてしまった。


ルーナは一瞬のことに唖然としブレードを落としそうになったが、もしかしたらまだ助かるかもしれない、私がすぐに治療すればなんとかなるかもしれないと、僅かな希望を持って巨人にアンカーを刺し急所を狙った。

その巨人は倒れたが、そこにあるのはもうすでにイザベルではなかった。

クッと目を背け、走るルーナ。


別の巨人がファーラン目掛けて飛びかかっていた。


ダメだ！間に合わない！
そう思った瞬間、フラゴンが巨人の急所目掛けて飛び出してきた。
「部下を捨てて逃げるわけに行くかよ！」
その巨人は蒸気を上げて倒れ絶命した。

「馬を探せ！生きてる者だけでも逃げるぞ！」

フラゴンが叫んだ瞬間、後ろから一体の巨人がフラゴンの体を掴み、一瞬で口に放り込んでしまった。


「はぁあ.....ま、まっ...てよ...フラ...ゴン」



呆然としている暇はなかった。
後ろから迫る気配にルーナは急いでアンカーを刺し、低い位置から滑り込み、巨人の脚を削いだ。

バランスを崩して倒れる巨人が腕を降りルーナを捕らえようとする。

ワイヤーを巻き取りながらくるくると巨人の周りを逃げた。


クッ！自分のことで精一杯で、このままじゃ皆死なせてしまう...