Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
ルーナはどうやってクラムを説得しようかと1日ずっと考えていた。
合鍵を持っている以上いつでもリヴァイは部屋に入って来られるが、今朝のクラムの言葉を鵜呑みにするならば、今夜リヴァイは何らかの形で誰かに時間を割くようなことになっているのだろうか?
それならばもちろんその方が好都合ではある。
情でキスをしていたとはいえ、クラムに身体を開くなどということはできるはずが無い。
夜にクラムが部屋に来て2人きりになるということはそのことを当然覚悟しておかなくてはならないのだが、こうなった以上はひとまず部屋に招き入れ、どうにか話し合いでその場を収めようと決意していた。
トントン
ノックの音がし、ビクリと体が跳ねる。
暴れる鼓動を少しでも沈めるように大きく息を吸い、そして吐いた。
神妙な面持ちのクラムを部屋に招き入れる。
「ね、クラム…少し話さない?」
「いいですよ。何を話します?」
「・・・」
ルーナは何も言わずにクラムをソファーへ座らせ、そして向かいに座る。
時計の音が妙に大きく聞こえ、頭の中でその秒針が駆り立てるように思考の邪魔をする。
そのせいもあってか、もう初めから言いたいことを先に言ってしまおうと思った。
「あのね、率直に言ってしまうけど…私はキス以上のことはできない」
真っ直ぐに真剣な眼差しでそう言うと、クラムの目が細まり、睨むような視線が突き刺さる。
それでも目を逸らさずにいると、クラムはフッと僅かに口角を上げた。
「あれだけ俺の愛に応えておいて…ですか?」
「・・・ごめんなさい。私は…愛に応えたつもりは…ないの」
「俺があなたに向けているのはいつだって愛ですよ、」
「そうだとしても…私は…違うの。」
口角を下げ、冷たい表情になるクラムと視線を合わせていられなくなり、ルーナの方からついに目を逸らした。
「へぇ…じゃあ、一体なんだったのですか?」
ルーナは視線を床に落としたまま、静かに言った。
「…情…なの…」
クラムの冷たい表情は固まったままだ。
「ごめんなさい…私が悪かった。少しでもあなたの気が楽になればって思ってしてしまっていた行動は逆に、あなたを傷つけてしまっていたかもしれない。」