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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第36章 パラドックス■


重苦しい日常がまた流れ始めた。

きっとあの夜は…一昨日の夜は…
ルーナはまたひたすら掃除をしていたのだろうと思い、リヴァイは苦しくなる。

けれどあの後は顔を合わす気にどうしてもなれなかった。
それはメリッサにキスをしたからではない。

1つの命がまた自分の心臓の一部となり、
そしてその重みが加わったことにより全身が重苦しくて仕方なくなっていたからだ。

俺のこの心臓は、一体何人の命が吹き込まれている?
一体何人の心臓が俺の一部になったんだ?
いつまで耐えられる?
あと何人の命でこの心臓は抱えきれなくなる?
その重さで俺が立っていられなくなるのは…あと何人だ?


メリッサにキスをしたことは、きっとルーナに言ったとしても何も責めてはこないと分かっている。

なぜならルーナは優しいからだ。

情けでキスをしただけ。
だとしても逆の立場だったら確実に激昂しているだろう。


正直言えば、あんなに他人に情けをかけたのは初めてだった。
メリッサに対して、申し訳ないとも思った。可哀想だとも。

でもその行動は、本当は自分の責任を少しでも手放したかったからでは?
と後になって気付いた。

これ以上自分で自分を責めていると、自分の心臓が壊れてしまいそうで。

それを単純に、情、という表向きは優しさともとれるようなその行動を、ただ自分の負担を減らしたいがためにしたのではないかと。


情という優しさは、本当は、偽善…なのではないか。

その偽善は…時に、した相手ではなく自分自身を傷つける。

これじゃメリッサに対してした説教は全く説得力がないじゃないかと思い、自分自身を嘲笑うほかない。

俺は、優しくない。


誰よりも思いやりがあって優しくて…
そんなふうに俺の事を喋ったルーナ、お前は間違っているのかもしれない。

お前を騙していると分かっていても、
どうしてもお前に会いたくて触れていたくてたまらなくなるんだ…
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