Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第6章 夜会■
「これで綺麗になっただろ」
リヴァイはルーナの頭に手を置くと、優しい顔で呟いた。
そんな顔を、、しないで。
甘えてしまったら、私が私ではなくなってしまう。
「...まだって言ったら...どうするの...」
ゆらゆらと黄金の月が揺れる瞳で眉をひそめ懇願するような顔のルーナが寂しげに囁いた。
思いもよらぬ言葉が返ってきて思わず唖然としていると、
「ごめんっ!冗談!
綺麗になったよ……ありがとねリヴァイ」
いつもの笑顔に瞬時に戻るルーナ。
「お前........いやなんでもねぇ。」
聞こえるか聞こえないかのとても小さな声でなにか呟き急いで目を背けるリヴァイに近づき、
「え?ごめん聞こえなかったよ、何?」
と下を向くリヴァイの顔を覗こうとしたルーナの腕を リヴァイが乱暴に引き、彼女の唇を塞いだ。
リヴァイはチュッと音を立て唇を離すと
「かわいいと言ったんだ」
今度は聞こえる声で鋭い目つきではっきりと言った。
ルーナは自身の顔が赤くなるのがわかったが、月明かりだけの薄暗いここならば気付かれていないだろうと顔を隠すことはやめた。
代わりに俯いてリヴァイの胸に顔を埋める。
「親以外の誰かに…甘えたことなんてなかった。1度も。」
頭が優しく包まれるのが分かり、目を瞑る。
「甘えることは、自分を見失うことだと思うから…」
「違う。」
リヴァイの強い声色にまた目を開く。
「甘えることは、本当の自分自身を一つ一つ取り戻していくことだ。」
「…私は…」
とっくに悪魔なのに、人間に戻れるの?
その言葉は出てこなかった。
「なぁお前はいつも…何を見て何を感じて何を考えているんだ?」
耳元で囁くように聞こえるその声は子守唄のように優しい。
「お前の中の何が、お前の涙を止めちまってるんだ?それはどうしたら外してやれる?…教えてくれ…俺にできることはなんだ」
ギュッと力が入る腕の中に包まれながら、ルーナはゆっくりと首を横に振った。
残酷だ。
ルーナが感じたのはそれだけだった。
こんな関係性のこんな状況下で、
こんなにもこの人は……
私を夢中にさせる。
私の心の隙間に、
この人は残酷なくらい容赦なく入り込む。
「世界は、残酷。」
それだけ言って、体を離した。