Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第29章 星の降る夜■
「…すごく綺麗な歌だと思います。最愛の人を思う気持ちが表現されていて。でもなんだか切ないですね。その人にまるで全てを託して自分は骨になっていくような…。誇り…かけがえのない期待の星…それって」
「若いのにそこまで読み取れるなんてすごいすごい!」
クラムの呟きを遮るようにルーナが明るい声を出した。
「もうっちょっと笑わないでくださいよー!それに俺もう子供じゃないんですからァ〜」
「ははっごめんごめん、でも私から見ればまだまだ子供だよ」
ルーナが無邪気な笑顔で言うと、クラムの笑顔は消えた。
「子供じゃ…ないですよ…」
「?」
ルーナの手をクラムが握った。
「ちょっと…どうしたの…」
「この歌がリヴァイ兵長のことだったとしても…関係ないです。俺は…ずっとルーナさんのことが…好きで…」
「え…」
そこまで聞くと俺はさすがに頭に血が上り、足を踏み出そうとした。
しかしその時のルーナの声で制止される。
「離して…あなたの気持ちには応えられない」
「今はそれでいいですよ。でも必ず俺はルーナさんを手に入れてみせます」
「…っ……離して」
「今はこうして触れていたい。ダメですか?」
「離しなさい…」
「ルーナさ」
「離しなさい。これは命令です」
突然声色が変わったルーナの手からクラムの手が離れた。
それを確認すると、ルーナはまた笑顔で言った。
「もう戻って寝た方がいい。こんな時間だし!明日遅刻したら全兵舎の掃除してもらうからね!」
「…えー…それは嫌だなぁ…ルーナさんの掃除ってマジで容赦ないって聞くし…」
「なら早く戻った戻った!」
「う〜…わかりましたよ!ルーナさんこそ遅刻しないでくださいよ!じゃーおやすみなさいっ!また明日!」
笑顔で手を振り、去っていくクラム。
ルーナも軽く手を振りながらしばらくその場へ佇むと、俯きながら兵舎へ戻って行った。