• テキストサイズ

Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第29章 星の降る夜■


その日の夜のことだった。
お前は覚えているだろうか?
いや覚えてねぇだろうな。
俺の部屋に来て、なにをしたのか…



俺は当然一日中イライラしていた。
やらなきゃならん書類仕事もそんなになく ひとまずゆっくり仕事をしながらとくに誰にも会わずに1日過ごした。
これからどうしようかとか、そんなことを考えながら。

爆発寸前の俺はあの水晶を傍において仕事をしてた。
どういうわけか、こいつを見たり触れたりしていると落ち着く。
触れた時、俺の指輪とぶつかりカチンと小さく音が鳴る。
それがなんとも言えない甘美な癒しで俺の脳を揺さぶった。


外の空気も吸わずにずっと引きこもっているのも体に良くない気がして風呂に浸かった後に外へ出てみた。

月が出ていて星が綺麗だ。
ルーナと出会ってここへ来てまだ日が浅い最初の頃は、一緒に掃除しながら屋上で月を眺め星を目で追ったな。
あの頃は幸せだった。
あの頃は…?あの頃も…にならないのはなぜだろう。
きっと俺らはまだ何も知らなかったからだ。

俺たちの運命も宿命も、巨人のことも壁のことも、いろんなことを悟ってしまった今、これが幸せじゃなかったとしたらなんて言う?
俺には名前がつけられない。

壁によりかかり、美しい夜空を見上げながら思った。

俺も涙が出なくて心底良かったと。

もしも涙が出るような奴だったら、きっと今俺の目は潰れちまってこの夜空の輝きすら見ることができないだろう。


「〜♪」

そのとき歌声が聞こえた。
久しぶりに聴くあの歌だ。そして間違いなくルーナの歌声。

俺はあの頃からこれが大好きだった。
一緒に掃除をしている時にあいつがよく歌ってた。
そのときのあいつの顔は、守ってやりたくなるくらい切なげな淋しげな表情でこれを口ずさみ、目が合えば瞬時に無邪気な笑顔になった。

思えばあの頃から、
俺はお前に惚れていた。
/ 1213ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp