Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第25章 指輪と水晶
まず着いた先は、随分前に2人で来たことがある酒場だった。
ここでマスターからお揃いのレアなティーカップを購入したことも思い出した。
相変わらずたくさんの茶葉が並べられており、ルーナは目を輝かせる。
「ひぇっ?!リヴァイ兵士長?!あと...うあぁ!ルーナさんも!」
マスターは久々すぎるリヴァイの姿にこれでもかと言うほど目を見開き、驚きのあまりお化けを見たかのような声を上げた。
「チッ。なんだその驚きようは」
「わぁ〜!覚えていてくださったんですね!」
「もちろんですとも!ルーナさーん!!」
ルーナが子供のようにはしゃぎながらマスターの元へ行き、2人で久々の再会を喜んでいた。
その横でリヴァイは無言で茶葉を選んでいる。
そして買い物を終えると、マスターが出してくれた珍しい紅茶を飲みながらあのころと同じようにまた3人で世間話をした。
3人...というよりもほとんどルーナとマスターが楽しそうに会話をしているだけで、リヴァイはそれを仏頂面で聞きながら紅茶を啜っている。
「それよりマスター、ここが崩壊しなくてよかったな」
リヴァイは2度目の壁破壊の襲撃で、お気に入りのこの店がやられなくて本当によかったと安堵していた。
「そうなんですよ。あなた方のこともとても心配してました。随分と調査兵の皆様も減ってしまったようで...なんというか...私は祈ることしかできないので...」
「いえいえ、安心してください!私たちが全力でお守りしますから!まだまだ調査兵団は多く健在してますよ!精鋭陣だと例えば...」
にこやかに喋り出すルーナに、マズイ...と思った。
この感じだと、ひょっとすると"あのルーナ"が出てきてしまっているのではないかとリヴァイは焦り始めた。
このまま会話を続けるのは危険だ。
「ルーナ、そろそろ行くぞ」
「え、あ、うん。そうだね」
リヴァイは最後に笑顔のマスターに礼を言い、手を振り続けるルーナの腕を引っ張って足早に店を出た。