Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第23章 叫び■
「遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした...」
今、リヴァイとルーナは片膝をつき頭を垂れていた。
目の前にいる二ファの両親は嗚咽ひとつすらつくことなく、ただただ涙を流している。
今までルーナは何十回...いや百回以上この状況を経験してきた。
きっと隣にいるリヴァイも同じだろう。
しかし、やはり慣れない。慣れるわけが無い。
そして不謹慎とも思うがルーナはこの時が、生きている時間の中で1番嫌いだった。
本当にいろんな遺族がいる。
こういうふうにただ打ちひしがれる人もいれば、敷居すら跨がせてもらえず追い返されることもある。
ひたすら叱責され責められ続けることもあれば、逆に慰められる立場にだってなってしまうこともある。
遺体が回収できなかった遺族からは、回収してこいと永遠と罵倒されることも当然多い。
どれが1番辛いとかはない。
そのどれもが、自分まで死んでしまいたくなるくらいに心臓を鷲掴みにし心を抉りとり脳裏を焼き付けた。
どんな反応をされてもただ最後まで聞き、謝り続けることしかできない。
普段は当然エルヴィンとまわることが多く、
こういう場面のエルヴィンもどんな状況でも酷く冷静だ。
一度、遺族に殴られたことがあった。
しかしエルヴィンは顔色ひとつ変えず黙って受け入れていた。
付き添い出して初めの頃は、彼は少しの慣れと自責の念で冷静沈着なのだろうと思っていた。
しかしいつの日か、それは違うのだろうとルーナは気づき始めていた。
エルヴィンは仲間の死に対し、本当に何も感じなくなっているのだと。
ルーナは自分もいつしかそうなりそうで怖かった。
自分も近い将来、人間らしくいられなくなるのではないかと。
悪魔に近い存在になってしまうのではないかと。
いや、もうとっくに足を踏み入れているだろう。
ルーナはそう自覚していた。