Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第17章 見えない瞳
「この事態は異例を極め、相反する感情論がこの壁の中にひしめいておる。ある者は君のことを破滅に導く悪魔と呼び、またある者は希望へと導く救世主と呼ぶ...」
ダリス・ザックレー総統の声が静まり返った審議所に響く。
ハンジとミケに連れられて入ってきたエレンを久しぶりに見て、ルーナは少しホッとしていた。
拷問をされたりした形跡はないし、やせ細ってもいない...
あとはこの場がうまくいってくれれば...
チラと隣のエルヴィンを見る。
真剣な目つきでエレンを真っ直ぐ見据えていた。
エルヴィンを挟んで隣にいるリヴァイの顔は見えない。
「やはり民衆に君の存在を隠すことは不可能だった。君の存在をいずれかの形で公表せねば、巨人とは別の脅威が発生しかねない...
今回決めるのは君の動向をどちらの兵団に委ねるかだ。その兵団次第で君の処遇も決定する。憲兵団か。調査兵団か。」
「我々はエレンの人体を徹底的に調べあげた後、速やかに処分すべきと考えております」
やはりだ...ルーナは唇を噛み締めながら憲兵団師団長のナイルを睨んだ。
確か彼はエルヴィンと同期だったはず...
「そんな必要はない!奴は神の英智である壁を欺き侵入した害虫だ。今すぐに殺すべきだ!」
ウォール教の連中だ...
確かあれは...ニック司祭。5年前に壁が破壊されてから急速に信者を増やし指示を集めだした組織だ。
こいつらは絶対に何かを隠している。ルーナは随分前から疑っていた。
「我々調査兵団はエレンを正式な団員として迎え入れ、巨人の力を利用し、ウォールマリアを奪還します」
次にエルヴィンの声が響いた。
「ちょっと待て!今度こそ全ての扉は完全封鎖するのではないのか?超大型巨人が破壊できるのは扉の部分だけだ!そこさえ頑丈にすればこれ以上攻められることはないというのに!」
「そうだ!そこまでして土地が欲しいのか?!」
「お前らは出来もしない理想ばかり言って我々を破滅に陥れるだけだ!」
「これ以上お前らの英雄ごっこには付き合ってられない!!」
エルヴィンの言葉に、そこかしこから罵声が響き、ルーナは握った拳が震え出した。
我慢の限界で、反論してやろうと口を開きかけたその時...