Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第62章 瞳のその奥
リヴァイの車椅子を押しているのは我が子たち3人。
着いた先は、あのラベンダー畑。
真紫の地面の端の遺跡。
その前には、ある3人の姿があった。
近づいて行くと、気づいたように一斉にこちらを向いた。
「遅かったじゃない、リヴァイ」
「嫌味かよ…」
アリーはくすくすと笑った。
この遺跡の下にはルーナが眠っている。
埋葬するとき、彼女の目には包帯が巻かれていた。
Luna Ackerman
その下には、遺体すら残らなかったバリスやフロック、イェーガー派の面々といった名前がたくさん刻まれている。
大量のラベンダーに囲まれたその遺跡を、
目を細めてジッと見つめる。
どこからか吹き抜けてきた風が、
ラベンダーの香りをさらに濃くした。
それは彼女の懐かしいいつもの香り。
「寒くはないか?」
ディーターが心配そうにアリーの肩に手を置いた。
「えぇ、大丈夫。」
アリーのお腹の中には今、ディーターとの新たな生命が宿っている。
名前はもう決めてあるらしい。
「おい、リンク。
こっちへ来てくれ」
しゃがみこんでいつまでも遺跡に花を飾っているリンクに、リヴァイは声をかけた。
リンクが立ち上がると、もうかなり背が大きくなっていて驚く。
ゆっくりとリヴァイに近づき、
目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
その瞳を、リヴァイは凝視する。
ルーナの目だ…
いつも俺を見つめていた、あの眼差し。
濃いグリーンに黒みがかった美しい瞳。
リンクは悩ましいような表情をした。
「…やっぱりリヴァイ兄が片目を、」
「馬鹿言え。それじゃ意味がねぇだろ。」
俺の潰れた右目に譲りたかったらしい。
だがそれだとこうして、
ルーナにしっかりと両目で見つめてもらえないだろ、
俺のことを。
気がつくと俺は、その瞳を見つめたままリンクの頬を触っていた。
「ルーナ……」
無意識にそう呟いてしまった。
それでもリンクは嬉しそうに笑った。