Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第60章 大切なもの
「あんなに取り乱しているルーナを見たのは初めてだった…彼女にとってリヴァイは…自分の心臓の片割れなんだ…」
ハンジの言葉にマガトはため息を吐く。
「我々の街を先陣切って散々蹂躙しまくっていた悪魔にも、そういった情というものがあるのだな」
「情じゃないよ…愛だよ……彼女はとっくの昔に情なんてのは捨てた。1番愛する人との子供を堕ろしてまで…彼女は悪魔になりきったんだ…」
「?!」
マガトが目を見開いたのと同時にハンジはリヴァイやアルミンたちの方から視線をそらさずに続けた。
「ルーナは…きっとその頃から分かっていたんだ。
最愛の人がいつかこんなふうに…自分の知らないところでボロボロになってしまうと…。その時に自分が思い通りに動けるように…あの時…情は捨てたのさ…」
何も捨てることができない人には何も変えることはできない。
ルーナの口癖を思い出し、目を瞑る。
「アルミン、ミカサ、コニー、…
リヴァイを心配してくれてるの?ありがとう。」
目の赤いジャンを引き連れてルーナが戻ってきた。
「そりゃあ心配しますよ。当たり前じゃないですか…」
アルミンは眉をひそめながら、リヴァイを見つめている。
「兵長…右目も右手の指も…」
ミカサはそう言って悔しそうに唇をきつく噛んだ。
それを見てルーナは切なそうに笑う。
「大丈夫、きっと。あなたと同じアッカーマンなんだから…」
「ルーナさん、俺らはルーナさんのこともずっと心配していたんですよ?」
「…私の?どうして?」
コニーの言葉にルーナは首を傾げる。
「仲間だからに決まってるじゃないですか!俺らを強くしてくれたのは、紛れもなくルーナさんなんですから。」
ハッとしたように僅かに目を見開いた。
自分が教官として訓練兵団で104期を指導していた頃を思い出す。
その頃とは比べ物にならないくらいに逞しく強くなっているこの子達…
仲間…
そう言ってくれるのならば…
私はこの子たちに賭けてみてもいいかもしれない…