Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第59章 完全無欠の一族
ピクシスたち上層部とイェレナたちは食卓を囲んでいた。
皆の腕には布が巻きつけられている。
白い布はイェーガー派だと顕示する証。
赤い布はワインを知らずに飲んで服従を強いられた証。
黒い布はワインを飲んで抗う術のないその他大勢。
「マーレとやり方が似ておるのう。お主らの生まれ故郷もこのようにしてマーレに支配されたのではないか?」
「…敵から学ぶことは多い。」
「敵の増やし方も学んだようじゃの」
「味方になるのを拒んだのは、あなた方ではございませんでしたか?」
イェレナとピクシスの鋭い視線が交じり合う。
「果たして…端から毒を盛ったワインを振る舞う客人を信用しなかった我々は…懸命であったのやら愚かでやったのやら…」
「懸命なのはあの女性だけでしたね。最初から私達とジークをただ信じていれば、とうに世界は救われていたというのに…」
あの女性とは…ルーナのことであろうと誰もが息を飲む。
しかし後のイェレナのその言葉に、ピクシスたちは首をかしげる。
「ん?世界が救われると申したのか?これよりジークとエレンは接触し、小規模の地ならしを発動させ、世界の国々に今後50年島には手出しできぬと思い知らせることが計画のはず。救われるのはこの島だけでは無いのか?」
イェレナはゆっくりと瞬きをし、静かにテーブルに肘をついた。
顔を上げた時、ゾッとするほど色のない氷のような視線が突き刺さる。
「全てが遅い。ジークは充分あなたたちを待った。その慈悲に対し、あなたたちは寝首を掻こうと応じた。…ジークは世界を救う神ですので、罰が下ることでしょう。」
口角が上がったイェレナの表情に、皆が汗を滲ませた。