Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第8章 帰還■
リヴァイのその手の動きに目を輝かせながら
「ねぇもう1回やってもう1回やって!」
と口の前で両手を絡めて懇願するような瞳を向けるルーナに
リヴァイはまたクルクルとナイフを回す。
「ほぼ裸の男女がナイフ振り回して朝っぱらから何やってんだ」
と小さく舌打ちした。
お互い、シャワーを浴び着替えたあと、一緒に朝食をとりに食堂へ向かった。
子供のようにパクパクと食べ進めているルーナを見ながら、リヴァイは思った。
なんて女だ...
小柄で細身で可愛らしい子供のような顔をして、そもそも兵士とも思えないような出で立ちなのに...
いつも笑顔で明るく綺麗好きなルーナからは想像もできないようなナイフ使い...
俺はこいつのことを何も分かっちゃいないのかもしれん。
こいつは一体なんなんだ...
しかも……
あの瞬間がコイツにもあった、だと…?
ということはこいつは…
もしや俺やアイツよりも強かったりするのか?
そもそも凄まじく生存率が低いこの兵団の中で、こんなに長い間生き残っている時点で、確かにこいつもエルヴィンも只者ではないことは確かだが…
それに最年少で入団したとも聞いたし、並の兵士より強いことは確かだ。
今まで見てきた感じだと、力を隠してやがるのか?
それともまだ発揮できてない段階か…?
そして初めて会った瞬間からなぜか他人とは思えなかった妙な違和感…
なんなんだ…本当にこいつは…
ジーッと自分を見つめるリヴァイに気づき、ルーナは食べている手を止めてリヴァイを見た。
「どうしたの?」
「...いや」
しかしあれだけナイフが使えるならある意味良かった。
俺が知らないところで何か危険が及んでも、ナイフさえ忍ばせておけばコイツに適うやつはそういないかもしれん...
小さい子猫だと思って油断した蛇が鋭い爪で切り裂かれるように。
「フッ...」少し安心したように短く笑い、リヴァイはパンを齧りだした。
「えっ?!今リヴァイ笑った?!」
「…笑ってない」
「えー絶対笑ったよ!笑ったでしょ?!」
「笑ってないと言ってる」
「嘘だ!ねぇもう1回!もう1回笑って!」
「お前いい加減くどいぞ」
「じゃあもう1回私が笑わせればいい?」
「もう1回もう1回って...お前の口癖か?」
そのやり取りを周りの兵士たちは目を丸くして見つめていた。