第2章 往昔
「お邪魔します…」
と花灯は控えめな声で呟き、家の中へと入った。
「私んちに遊びに来て欲しいなあ。誰も家連れてきたことないんだ」
リビングに向かう途中に花灯が言った。
『そうなんだ。私も花灯ちゃんの家行きたいな』
「…でもお母さんがダメって言うんだよね。別に散らかってるわけじゃないのに。酷いよね」
母親に対する小さな不満をぶつけた。
リビングに入ると『適当に座ってて。何か飲み物出すよ』とは花灯に声をかけた。
『お茶か水しかないけど…』
「あ、マジ?ごめん、まだ体調よくないのに……すぐ帰るから。ゆっくり休んで」
『大丈夫だよ。
……紅茶があったんだけど、花灯ちゃん紅茶飲む?』
「うん、飲めるよ。ありがとう」
そういえば、と花灯が思い出したかのように言った。
「の家、猫飼ってるんだね」
『あ、…うん。親が拾ってきて』
「そうなんだ、猫って可愛いよねー」
猫が苦手なは花灯の言葉に苦笑いした。