第2章 往昔
「話なんだけどさ……」
うん、と言って頷いたは紅茶を淹れているティーカップを机に置いて座った。
「積善高校入れても、ついていけるかなんだよね。バイトしないとだし、両立できるか不安」
確かに、と心の中で思った。自分だって授業についていけるか不安だ。
「ほんと、どうしようかなあ…」
『…悩むよね』
「うん」
頷いた花灯はため息を漏らした。
出来れば高校は、花灯と一緒が良い。
一から友達作りするはにとって苦痛だ。
そう思っていると、花灯が言った。
「そういえば、姫城(ひめき)が心配そうにしていたよ」
『姫城くんが……?』
姫城と言われて浮かび上がるのは、同じクラスの男子の姫城カヲル。
いつも静かで落ち着いている印象がある。
姫城はの斜め前の席に座っていて、たまに姫城が後ろを向いた時に目が合う。
あまり話したことが無い人で、どうして心配なんかされたのか不思議に思った。