第2章 往昔
八重が出ていった数十分後に、ピンポンー…と呼び鈴がなったのが聞こえた。
は即座に玄関に向かった。
ドアを開けて見てみると、花灯が立っていた。
手を軽く上げた彼女は、もう片方の手で茶封筒を抱えていた。
「やっほ、プリント届けに来たよ。体調はどう?」
そう言って花灯は持っていた茶封筒をに渡した。
『花灯ちゃん…ありがとう、大丈夫だよ』
「そっか。良かった…」
そう花灯は安堵して言ったが、すぐに暗い表情になった。
「………」
何か言いたげな花灯。
この事を今言うか躊躇したが、花灯はちゃんとに伝えようと心に決めた。
「あのね、実はに相談したいことがあって……」
『うん?』
が不思議そうにすると、花灯は深呼吸を1つして心を落ち着かせた。
「私、と同じ高校受けるよ」
その言葉には驚いた。
「お母さんは好きなようにしたらいいって。だから私合格できるようにテストも勉強も頑張る。でも不安なんだ」
自信がないのか、花灯の視線が下がる。
『花灯ちゃんなら、大丈夫だよ。テストの点数悪くないし…』
「だけど、さ……」
『花灯ちゃん、家上がってよ。立ち話もなんだし…。座って話そう』
と、は花灯に家に上がるように勧めた。
「あ、うん、ありがとう…」