第2章 往昔
悲鳴に似た声が部屋に響いた。
『(もう、ダメ……)』
疲れて少し眠い。
このまま寝たいけど、お風呂に入らないといけない。
汗で体がベタベタしているし、あと……。
股から何かが出たものでも少しベタついている。
あれがお父さんが言っていたイクって事なのかな。
意識が朦朧とした中で考える。
『あ……』
子猫の"きいちゃん"が私の方へ歩み寄った。
さっきまで寝ていたからまだ少し眠そう。眠たそうなの、私と同じだ。
家に来て数日経ったけど、まだ猫は苦手で私は恐る恐るきいちゃんの頭を撫でる。
引っ掻かれると思ったけど、そんなこと無かった。
『かわいい…』
小さな声でつぶやいた。
そして私はお風呂に行くことにした。
汚れた制服は洗おう。
明日乾けばいいけど……、と思いながら重たい体を起こして立ち上がった。
「風呂に行くのかい?」
そうお父さんが聞いてきて、その言葉に私は頷いた。
「少し出かけてくる。鍵はかけとくから。」
私は頷いて、ドアに向かって出ていくお父さんを見送った。