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【R18】遥かな愛

第1章 始まり



それから私は家に帰った。


まだ誰も帰ってきて居ないと思っていたけど、無意識にドアノブに手をかけて回していた。


『ただいま』


靴を見てみると、帰ってきていたのはお母さんだった。


靴を脱いで中に入って、背負っていた通学鞄を下ろす。


「おかえり。ごめんね、帰ってきたばっかりなのに、お母さんまたすぐに仕事行かないと」


お母さんは化粧台の前に立って鏡を見ながらピアスをつけていた。



「昨日友ちゃんが猫を拾ったってね」

『うん……』

「昔みたいに、爪で引っ掻けなければいいけど」

『うん……』


適当に頷いていたら「ごめんね」とお母さんが謝ってきた。


「友ちゃんと2人きりなんてまだ気まずいわよね」


たしかに今も2人は気まずいけど、樹戸さんが最初に来た時より気まずさはなくなってきている。


『お母さんは、まだ樹戸さんと結婚しないの?』


結婚の話は全然しないから、少し気になっていた。


「うーん、そうね……」


それきり何も話さなくて「今日は遅くなるけど、帰ってこれるから」とはぐらかされた。


「そろそろ行かないと」


じゃあ、と言ってお母さんはドアに向かった。


『ばいばい』


私はドアを開けていなくなるお母さんに手を振って見送った。



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