第1章 始まり
そう思っていたけど何も出来ないまま六時間目までが終わって、放課後になった。
日誌は藤ヶ崎くんに任せているけど、やっぱり私もやった方がいいかも。と私は帰らないで残ることにした。
ほとんどのクラスの人達は、帰ったり部活に行ったりして人がいない。
でも宿題を忘れて居残りさせられている人とかが残っている。
私は自分の席から少し離れている藤ヶ崎くんの席に近づいた。
「あ、さん」
『何か手伝えることないかなって』
「大丈夫だよ、もう少しで終わるから」
日誌を見てみる。
最後の行までびっしりと書かれていて、それにすごく綺麗な文字に私は驚いた。
「担任に渡してくる」
そう言って藤ヶ崎くんは持っていたシャーペンを置いて立ち上がった。
『あっ、明日は私が書くから!』
私が言うと、春樹くんは驚いて目を見開いた。
「……うん、ありがとう。」
にこ、と微笑みながら答えた藤ヶ崎くんは、教室から出ていった。
『(窓を閉めて鍵をかけたら帰ろう。)』
私はそう考えて、窓側に向かった。