第1章 憧れ
繋がれた部分からエレンの温もりが伝わってくる。
自分の前を行く少年はやはりキラキラと輝いていて希望に満ち溢れていた。
そんなエレンに惹かれて、恋という芽が生えかけていたことを、_____________________ケイトはまだ知らない。
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………憧れと、好きという感情。
どう違ってどう似ているのか。
「あっ!おい、見ろよっ」
少し興奮気味のエレンに促されるように指を指した場所に目を向けた。
「リヴァイ兵士長だっ!!」
人類最強。
そんな肩書きを背負わされている彼はどう思ってるのだろうか。
単純に興味が沸いた。
その人はいつも不機嫌そうな顔をしていて口を閉ざしている。
ケイトは彼に何を考えていたわけでもなく、ぼーっとただただ目を向けていた。
すると、不意にこちらを向いた彼と目が合った。
あまりに現実みがなくて、映画の1シーンでも見ているかのようにケイトは人類最強の男を見つめていた。
暫くしたらどうせ逸らすだろうと考えていたケイトは逸らすまで、とじっとりとした視線を彼に向けた。
しかし彼は全く持ってケイトから目を逸らすことはなく、じっ、とケイトを通りすぎるまで見つめていた。
さすがにいたたまれなくなってケイトから目を逸らしたが、まだあの鋭利な視線を身体に感じているようだった。
「はぁーっ!やっぱ人類最強はかっけぇなぁ!」
一通り堪能したエレンはくぅっ、と腕を持ち上げ伸びをする。
しかしケイトはそれどころじゃなかった。
あの人類最強の男と数秒間とはいえ、見つめあう形になってしまったことを後悔した。
(…ぁあ 、怖かった…)