第14章 番外編~シラフ?酔っ払い?~
結局、桜雪さんは所有印のあるお腹をサラシを巻いて隠して任務に行っていた。
なんか、兄貴は不服そうだった。
今日は兄貴は久しぶりの非番らしくて俺に稽古をつけてくれるって事なんだけど…
コレがまたスパルタすぎる………
『これくらいでへばってんじゃねェよ…』
息が上がって常中するのもやっとな俺に兄貴はヤンキー座りして見てきて怖い顔で低い声でこう言って来るんだ……
俺は桜雪さんの継子になってからこうやって兄貴か桜雪さんにスパルタ指導を受けている…
『弐ノ型 爪々・科戸風』
『弐ノ型 水ノ舞 出羽咲楽』
こうやって本気で稽古する日々…
もうね、辛いですよ。
桜雪さんみたいに飲めば飲むほど強くなるわけじゃないから、俺は日々二日酔い状態…
『うっ………オェェェェェェェェェェェェェ…』
『またかよ…耐性まだつかねェのかよ…仕方ねェ…少し休むか…』
案の定、二日酔いで吐いてしまった俺の背中を撫でてくれる兄貴…
やっぱり兄貴は優しい…
いつの間にか夕方になって暗くなった。
『ねぇ…兄貴はさ…怖くないの?こうやっていつ死ぬか分からないのにさ…俺はまだ怖い…』
俺は隠の佐藤さんが作ってくれた晩飯を食べた後に兄貴に言った。
『怖くねェわけじゃねェよ…桜雪の訃報を聞く日が来るかもしれないと思うと…辛くてたまんねェ…けどよォ…信じて待つしかねェ…』
兄貴は少し寂しそうにしてたけど桜雪さんの事を思い浮かべたのか少し微笑んでいた。
兄貴にも桜雪さんにもやっぱり敵わない…
俺ならこんな状況で恋なんて出来ない。
出来たとしても、相手に伝えることが出来ずに終わると思う。