第13章 番外編~家族~
そんな時に出会ったのが、宇髄天元という男だった。
忍びの里から逃げ出してきたらしく、家も何もないと言うから、余るほどある部屋を貸すことにした。
そして、御館様に引き合わせて宇髄も鬼殺隊に最終餞別を経て鬼殺隊に入隊した。
入隊すると同時に
『桜雪…俺の嫁になれよ…』
なんてお誘いを何度も宇髄から受けた。
桜雪は
『断る。3人もいるんだからその3人を大切にしてやれよ。あたしみたいなの嫁にしたって不幸になるだけ。』
と言って断った。
そんなある日…
ただ1人…気を許せる仲のいい隊士が殉職したと聞いた。
十二鬼月に出くわして殺されたらしい。
その子は家族だと言ってくれた…
お姉ちゃんとしたってくれていたすごく素直な子だった。
桜雪は荒れに荒れ…藤の花の毒の量を増やした。
体はさらに蝕まれ…苦しみが強くなった。
定期的に息が出来なくなることが多くなった。
そんな時に宇髄は桜雪を慰めてくれた。
辛くて泣いてばかりいる桜雪を見ていて宇髄も辛くなったのだろう。
『鬼殺隊をやめて…俺の嫁になれよ…辛くて見てられねぇ…』
と言った。
その瞬間…気づいたら桜雪は宇髄をボコボコに殴っていた。
腕、足、肋骨が折れた音がした。
『天元様ーーーーー!!!桜雪のばかーーー!!!』
痛みでうずくまる宇髄を見て須磨が泣き叫んで桜雪に殴りかかろうとするのを雛鶴とまきをが必死に抑えている。
『あたしに勝てないやつが…あたしを守る?ふざけんなっ!!最近、仲良くなって姉と慕ってくれた子も同じ事を言ったよ!!【お姉ちゃんは私が守る】って…死んだよっ!!十二鬼月に殺されたよっ!!あたし…もう、何も要らない!!家族なんて要らない!!何も要らない!!失うくらいなら要らない!!』
桜雪は叫ぶように言った。
瞳からは涙がながれていた。