第10章 ケンカップル
『桜雪ちゃん…そこまでしたんだ…』
蜜璃は何故か突然、正座して苦笑いしながら言う。
『その時…かなり荒れててさ。あたしは好きだとか思ってたわけじゃないけど…あたしの事を好きだって言ってくれてた隊士が鬼に殺されてさ…とにかく、謎に荒れ狂ってたわけ。』
桜雪はいつの間にか空になっていた一升瓶をテーブルの上に置いてから言った。
『その理由を泣きながら話して…最後には【あたしに負けるような男がそんな事言ってくるなっ!!】って言ってて…私達も怒る気になんかなれなくて…』
須磨が悲しそうに言った。
『今じゃ誰も気にしないで仲良いのはいいけど、謎なあの理論をどうにかしてほしい。あたしにはもう、相手がいるんだしさ。』
桜雪はため息を吐きながら、新しく一升瓶を開けている。
『【命の優先順位】の話ですか?』
雛鶴がフフっと微笑んで言った。
『そうそれ。【嫁の3人、桜雪、堅気の人間、天元】だから。そこにあたしが入ってるのが意味不明。』
桜雪は一升瓶のまま酒をグイッと飲んでから言った。
『天元様によると、桜雪さんは手のかかる姉だそうですよ?』
須磨はどこか楽しそうに言った。
『尚更…意味不明。そりゃ…何も無くなったあたしに家族だって言ってくれたのは…義勇や亡くなった弟弟子と妹弟子、天元くらいだからね…でも、手のかかるってなんだよっー!!』
桜雪はだいぶ、酒がまわっているようだ。