第10章 ケンカップル
『なんでだァ?伝えてやれば落ち着くんじゃねェか??』
実弥は酒を1口飲んでから言った。
『桜雪の性格を考えてみろよ……藤の花の毒を飲んだ事を後悔して自分を責め立てるからだ。桜雪は全てを溜め込むからな…そんな事したらいつか、精神状態が崩壊して鬼化する。』
そう言った宇髄は悲しそうだった。
離れたところでは何を話しているのか…何故か来てしまった宇髄の嫁達としのぶ、甘露寺が楽しそうに桜雪が喋っている。
『だから…今のところ…かァ…』
『そういうことだ…桜雪より俺達が死んで…桜雪が鬼化したら誰かが桜雪を殺してでも止めなきゃなんねぇってことだ。』
『アイツを止められるやつ居んのかァ?』
『今のところでは、俺達以外となると…悲鳴嶼さんくらいだろうけど鬼化なんてした事ねぇからなぁ?誰にも分かんねぇよ…』
宇髄と話していて実弥は思った。
命がいつ尽きるか分からない事をしているのだから桜雪も覚悟を決めてはいるはず…
それでも、桜雪にとって大切な人が自分達だとすると…
実弥自身だって桜雪と弟の玄弥が先に死んでしまったらと考えると辛くなる。
『暗い顔すんなよ!!派手に生きて派手に飲んで騒いで…今はそれでいいんじゃねぇか?』
『まぁ…そうかァ…』
実弥は宇髄の言葉を聞いて桜雪の方を見て優しい顔をしていた。