第10章 ケンカップル
『アイツのことかぁ……桜雪が鬼なのに稀血な事はしってるよな?』
『あァ…知ってる…』
『聞いても、聞いてねぇとか言って桜雪に突っかかるなよ…』
宇髄は実弥にとって初耳なことばかり話した。
桜雪の血は鬼を酩酊させるどころか鬼が強ければ強いほど酔って失神させる。
そして、その血には桜雪が長い期間、死のうとして飲み続けた藤の花の毒が含まれているらしく、人間には効かないが鬼には浴びた瞬間に即死するレベルだと言う事。
藤の花の毒は、ある日突然…飲むのを辞めたこと。
その毒が原因で感情がコントロール出来ないと鬼の血が何故かその毒に拒絶反応を起こして唐突に発作のような物が起きる事。
『このくらいだな…』
『桜雪は…なんで毒を飲むのを辞めたんだ?』
『さぁな…俺の屋敷に来た時に嫁達がなんか言ったらしいんだけどよぉ…嫁達も教えてくれねぇしなぁ…それとな…桜雪は鬼化しそうだからだと思っているらしいが…桜雪が鬼化する事は胡蝶の話によると、今のところはまず無いそうだ。鬼の血が拒絶反応を起こしているだけで…でもな?その事だけは桜雪には伝えたらいけないんだ。』
宇髄はそう言ってお猪口の酒をクイッと飲むんでから実弥のお猪口と自分のお猪口に酒を注いだ。