第9章 鬼化寸前
『まぁ、あれなんじゃない?一般隊士が弱いんじゃなくて、育手の目が節穴って可能性だってある。鬼に家族を殺され、それに同情して大した力もない奴らを選抜会に行かせて、たまたま生き残ったような隊士が沢山いるってわけでしょ?コイツらを責めたって何も変わらない。柱のあたし達が強くしてあげる事だって出来るわけだからさ。』
桜雪が無表情で言った。
『そうだね。どこかの合間を見て育成をする必要があるね。実弥、桜雪…君達は仲直りをしておいで。仲直り出来たら改めて柱合会議を始めよう。』
『はーい…』
不貞腐れた顔の桜雪。
『御意…』
無表情の実弥。
2人は産屋敷の言う通りに仲直りをしようと席を外した。
行くところもなく、何故か実弥の屋敷に来た二人。
変な呼吸をしている桜雪。
爪は伸びていて歯を食いしばっている。
『……桜雪…落ち着け…悪かったァ…』
『御館様に…言われたから仲直りしようとしてるだけだろっ!!』
『っ!!…情けねェよな…傍に居てやるって言ったのによォ…』
『ふっ…ぅう…くっ…はぁ…』
実弥に話しかけられている嬉しさや怒り…色んな感情で訳が分からなくなっている桜雪は鬼化してしまうのを必死に耐えている。
実弥の背中に爪を立ててしまう桜雪。
『さね…みぃ…はな…れ…ろ…』
『離れねェよ…』
『離れろ…って言ってんだろっ…』
『辛かったんだよなァ…』
『実弥…すき…すきだから…つらくて…んッ…んぅん…んっふっん…』
実弥は桜雪に深く口付けた。
それに答えるように桜雪は舌を絡める。
『んっ…はぁっ…』
桜雪の体から力が抜けて蕩けた顔で実弥を見つめている。
安心感と口付けられたことによる快感で鬼化は治まったようだ。
『そんな顔すんなァ…我慢出来なくなるだろうがァ…』
『じゃ…こっち見んな…んっふんんんっ…んッ…んんんっー!!!』
実弥に口付けされたまま胸を触られた桜雪は久しぶりの感覚に絶頂してしまった。