第9章 鬼化寸前
『あほか…』
桜雪はその様子を冷静に見ていた。
『不死川…天晶はともかく…鬼は日陰じゃないと出てこない。』
伊黒に言われて実弥は
『御館様…失礼仕る…』
と言って御館様のいる座敷の方に飛び上がって移動した。
『ほら、喰らいつけ…お前の好きな人間の血だァっ!!』
実弥は禰豆子の前にに血の出た腕を突き出したが禰豆子はプイッとそっぽを向いた。
その状況を童女の説明で知った産屋敷は
『これで禰豆子が人を襲わない証明が出来たね。』
と言った。
そして、童女の1人が産屋敷に何やら耳打ちをしている。
『小芭内…実弥…あまり下の子に意地悪しないようにね。それと…実弥…桜雪…お互いに素直になることが大切だよ。』
産屋敷はいつもの優しい口調で言った。
『御館様…あたしは一方的に振られた側なんですけど?』
桜雪は不機嫌そうに言った。
『喧嘩両成敗って言葉があるようにお互いに悪い所はあると私は思っているよ。炭治郎…柱はね、数々の厳しい試練や訓練を積み重ねてきた。言葉の使い方には気をつけるんだよ。』
『はいっ!!』
産屋敷の言葉に炭治郎はその場に正座をして頭を下げて返事をした。
『それでは…竈門くんは私の屋敷でお預かりしましょう。』
しのぶがそう言ってパンパンと手を叩くと、隠の二人が膝をついて柱と産屋敷に頭を下げて挨拶して炭治郎を連れて行った。