第8章 酒の呼吸
玄弥は何かを想像してしまったらしく…顔が真っ赤になっている。
『落ち着かねぇか?口付けでもしてやろうか?』
『アホか…ふざけんな…』
『桜雪…蝶屋敷に行って診てもらったほうがいいんじゃねぇか?最近、こうなる頻度が多すぎる…』
宇髄は桜雪に優しい口調で語りかける。
『嫌だ…行ったところでなんになる…原因は分かってるんだ…乗り越えないといけない…』
桜雪は必死に呼吸をして耐えているが、そのうち自分の手を噛もうとする…
『噛むな…自分の手を噛むくらいなら俺の肩でも噛んどけ…ぃっ…っつ!!』
桜雪は宇髄の肩を噛む。
宇髄は痛そうな顔をしていたが桜雪の背中を撫でてくれていた。
『宇髄さん…俺…辛そうな桜雪さんを見てるの嫌です…』
玄弥は既に泣いている。
目からはボロボロと涙が溢れている。
『俺だって見たかねぇよ…』
桜雪はいつの間にか寝てしまっていた。
宇髄は桜雪を布団に寝かせてからため息をついてから外に向けて言った。
『おい…実弥ちゃーん?いつまでお前はそうしてんだ?早く派手に男らしく謝っちまえって言ってんだろ?まずは、弟の話を聞いてやれ…』
『うるせェ…変な呼び方すんなっ!!それが出来たら苦労しねェっ!!それになっ!!弟なんて俺には居ねぇっ!!』
外にいた実弥が屋敷の中に入ってくる…
『ここにいるだろうが。』
呆れたように宇髄は実弥の目の前に玄弥を突き出した。