第6章 最後のお茶会
『桜雪っ!!待てよォっ!!』
『離せ…カナエと話してたら良かっただろっ!!あたしみたいな…言葉遣いも女らしくもねぇ…ガサツで化粧すらしねぇ…そんな奴より…女らしくて強くて綺麗なカナエと話してた方がそりゃ…楽しいだろうよっ!!んっ…ぅぅぅぅん…』
実弥は桜雪を抱き寄せて深く口付けた。
『バカかァ?俺はなァ…桜雪がいいんだよっ!!好きでもねェ奴にこんな事するわけねェだろうがァ…でもなァ…そう思わせちまったんなら…お前に悪いことしたなァ…桜雪…悪ィな…』
桜雪は許してあげるとでも言いたげに実弥を抱きしめた。
最初にあった時は見下げていた実弥の身長も桜雪をすっぽりと包み込むくらいに高くなっていた。
『桜雪?どうした?』
呼吸音がおかしい桜雪に実弥は気づいた。
必死に呼吸をしているのだ。
しかし、うまく出来ていない。
今まで…こんな事なかったのだ。
『離れて…お願い…お願いだから…』
実弥はいつも人を傷つけないようにと手入れしている筈の桜雪の爪が伸びて尖っている事に気づいた。
蝶屋敷では確かにちゃんと手入れされていた。
という事は…嫉妬心から鬼化しようとしているのだろうか?
『離さねェよ…落ち着け…大丈夫だ…ゆっくり深呼吸しろォ…俺はここに居る。お前から絶対に離れたりしねェからよォ…』
実弥は桜雪の頭を優しく撫でて言葉をかける。