第5章 過去の話と幸せな一時
『近い…それ以上…顔は近付けんな…見事に常中できるわ…』
『はァ?良かったじゃねェか…』
ニヤリと微笑んで実弥は桜雪にさらに近寄る…
『だからっ!!近寄んなっつうの!!』
『俺に酔って顔真っ赤になってる奴に言われたってなァ?』
『うるせえなぁっ!!近寄んなー!!』
ーパチンッ!!
『いってェっ…何すんだッ!!』
『これ以上…近寄られたら吐くぞ…それでもいいなら近寄ればいい。』
桜雪は布団から出ると畳んで置いてあった隊服に着替えている。
桜雪の突然の冷静。
これが桜雪の酩酊状態。
千鳥足ではなく、しっかりとした足取り。
目も据わってきている。
【酔えば酔うほど強くなる。】
まさにその言葉が合っている。
桜雪の鎹鴉が飛んできて任務を伝える。
『行ってくる。』
『あァ…気ィつけてなァ…』
優しい顔で実弥は桜雪を送り出した。
実弥は自分も起き上がった。
いつ来るか分からない任務の為に実弥も隊服に着替えた。
『血の匂い…かァ…』
実弥は自分の血の匂いがどんな匂いがしているのかをふと、桜雪の話を思い出して気になっていた。
酔うということは酒かなにかの匂いってことか?
なんて実弥は考えてもみたが、考えもつかなくて考えるのをやめた。