第1章 鬼の子
『お前…鬼だな?』
ニヤリと企んだように青年は微笑んだ。
そして、桜雪に日輪刀を向けた。
『だから何?半分は人だから血肉になんて興味無い。残念ながらアンタの血にもほろ酔いだわ。』
桜雪は日輪刀を鞘に収めながら言った。
『鬼が鬼狩りとはおかしな事してんなァ?』
『挑発して鬼化でもさせる気?残念ながらあたしは生まれてから1度も鬼化したことないし…人と同じ食べ物で問題ないからさぁ~…飢餓状態になんてなった事ないから無理だよ。不思議な事に血鬼術だけは使えるんだけどね。』
『はァ?ンなことありえねェんだよっ!!どうせ、隠れて喰ってんだろっ!!』
青年はまだ日輪刀を桜雪に向けて吠える。
『喰ってないから。どんだけ疑うわけ?あのさぁ〜ホントにそうなら今、稀血で血だらけのアンタを襲ってるっての。そんな事も分からんの?』
『っ!?』
桜雪は青年の前に突然、現れると手にかかと落としをした。
その衝撃で青年の手から離れて地面に日輪刀がカシャンっ…と落ちた。
『てか…よく見たら良い顔してんねぇ?男前じゃん?将来が楽しみだねぇ?』
桜雪は青年の頬に手を添えてニヤリと微笑んで言った。
青年は顔を真っ赤にしている。
遠目からでも端正な顔立ちの桜雪。
近くで見ると、照れてしまう程の美女というよりイケメンなのだ。
『傷だらけの顔のどこが良い顔なんだよォ…ふざけんなァ…』
顔を真っ赤にしながら桜雪の手を払い除けて、青年はそっぽを向いて言った。
『元々が綺麗な男前の顔してるってこと。あんたみたいなのだったら抱かれたいなぁ〜』
『なっ!?』
桜雪の爆弾発言に顔を真っ赤にしつつ唖然としている青年。