第4章 訃報と風柱
知っていた隊士だからこそ桜雪は心が痛んだ。
それに…あの性格の実弥がただ1人…心を開いた親友であり、兄弟子なのだから……
そして、実弥は風柱となった。
初の柱合会議が開かれる。
実弥は匡近の事をまだ引きづっていることは桜雪は察していた。
だから、実弥が落ち着くまで何も話さずにいた。
『いいご身分だなァ、おいテメェ。産屋敷様よォ。』
なんて言ってしまう。
『実弥…御館様に向かってなんてこと言うんだっ!!このど阿呆っ!!』
桜雪はそれに激怒した。
『いいんだよ…桜雪。実弥…ごめんね…私には刀を持つ程に体が持たなかったんだ。私自身の代わりはいるし、私も駒に過ぎない。刀が持てなかった私の意思は桜雪に託している。実弥には柱として人の命を守って欲しい。匡近が死んで間も無いのに呼んでしまってすまなかったね。兄弟のように仲良くしていたから尚更つらかったろう。』
産屋敷はそう言って何も言えなくなった実弥に匡近の遺書を渡した。
〖大切な人が笑顔で、天寿を全うするその日まで幸せに暮らせるよう、その人が愛する人と末永く幸せに暮らせるよう、決してその命が理不尽に脅かされることがないよう願う。たとえその時、自分が生きてその人の傍にいられなくとも、生きていて欲しい。生き抜いて欲しい。〗
と書いてあった。
それを読んだ実弥は泣いていた。
自分自身が弟へ書いた遺書と似ていたのだから…