第4章 訃報と風柱
それから数年後…
匡近が十二鬼月に殺された。
桜雪が向かったが既に遅し…
やられた後だった。
『なんで…なんで…もっと早く来なかったんだよっ!!そうすれば…死ななくてすんだのによォ…』
実弥は桜雪を責め立てた。
完全な八つ当たりだってことくらい桜雪にも理解出来ていた。
『だったら…強くなればいい。余裕で倒せるくらい強くなったらいい。あたしに八つ当たりしてなんになるって言うんだっ!!』
守れなかった事に桜雪も辛く苦しくてそんな言葉をかけてしまった。
『お前に何が分かるってんだァっ!!』
『分かるから言ってんだよっ!!』
『鬼のお前になんか分かるわけねェだろっ!!母親を自分で殺さなきゃいけなかった俺の気持ちも…弟に何もしてやれなかった挙句…ただ1人…生き残った弟から母親を奪った俺の気持ちもっ!!!』
『鬼だから大切な人を失って居ないとでも思ってんのかよっ!!あたしはなぁっ!!目の前で母親と妹を殺されてんだよっ!!!だから、必死に強くなった。』
『だから、なんだってんだっ!!今強くなっても…匡近は帰ってこねェんだよっ!!』
『実弥…アンタにはまだ守るべきものが残ってる。あたしにはもう、何も無いっ!!ただ、鬼を倒す事しかねぇんだっ!!』
『…俺に弟なんていねェっ!!』
『そうやって否定してなんになるっ!!死んでからじゃ…遅せぇんだっ!!いい加減にしろっ!!!』
『お前に言われなくたってなァっ!!分かってんだよっ!!!』
『分かってんなら、実行しろっ!!!いつまでも後ろ向いてんじゃねぇっ!!!行くぞ…匡近を葬ってやらねぇとな…』
桜雪は連れてきた隠に匡近の体を運ぶように言った。