第26章 破局?
桜雪はとりあえず、実弥からは目を逸らして授業を受けていた。
『ねぇ…今日のさねみん…めっちゃ機嫌悪くない?』
『だよね…なんかイライラしてるの分かる…』
女子たちがヒソヒソとしている。
ちなみにこのヒソヒソとしている女子たちは桜雪と実弥が付き合っていることは知らない。
チャイムが授業の終わりを告げる。
『天晶…後で数学準備室に来い。』
実弥はそう言って教室を出ていった。
『………。玄弥…どうしたらいい?』
『行くしかないですね。ちなみに昨日、兄貴は母さんに怒られてましたよ。【そりゃ…桜雪ちゃんも怒るわよっ!!】って…』
玄弥は苦笑いしながら言った。
『あー……行くしかないか…そのつもりで来たのもあるし…』
桜雪はため息をついて言うと数学準備室に向かった。
ーガラッ!!
『うにゃっ!!』
突然、開いた扉に桜雪は変な声をあげてしまった。
『とりあえず…入れ。』
『はい…』
桜雪は実弥の言葉に素直に従って中に入った。
『桜雪…俺は桜雪との子供が出来たことは嬉しいと思ってる…だがなァ…不安もある。無惨を倒して帰ってこれたらいいが…帰って来れない可能性だってある。そう考えると不安で仕方なかった。そう思うと…素直に喜んでいいのかと思っちまって…戸惑ってた…』
実弥は桜雪を抱きしめながら言った。