第20章 日常生活と初任務
チャイムが鳴って昼休みの終わりを告げる。
『続きは…また今度だァ…』
実弥は桜雪の額にチュッと触れるだけのキスをする。
『なんか…実弥がキザな事をするようになった…』
『はァ?嫌だってのかァ?』
『良いけど…余計に……』
桜雪の顔は真っ赤になっている。
『その反応も俺が愛した女だァ…早くいけ…授業が始まっちまうぞォ…』
『うん…』
実弥に急かされて桜雪はそそくさとお弁当箱が入った手提げ袋を持って教室に戻った。
『はァ…襲っちまうとこだった…』
実弥は桜雪が去った後に顔を真っ赤にして額に手を当て呟いた。
実弥は自分の中で決めている。
キスから先をするのは桜雪が高校を卒業してからにしようと決めている。
昔なら、桜雪の年齢で子供を産むなんて事は当たり前となっていたが、今の時代は違う。
お互いに白い目で見られるし、教師と生徒という立場だと尚更、世間の目は厳しい。
こうやって付き合っている事でさえ、バレたら問題視されてしまうのだから。
実弥はため息をついてから自分も次の授業の準備をする事にした。
古くなって黒くなってしまった小さな瓢箪がコロンと床に落ちた。
前世の事を両親に話した時に刀の2つの鍔と共に渡された物だ。
戦時中に刀の本体は回収されてしまったらしく、残ったのは鍔だけだったらしい。
とりあえず、鍔は刀鍛冶に預けて刀を作ってもらって桜雪の手元ににある。
実弥は懐かしいなと思いながら…それをカバンの中に入れた。