第4章 4
終業式が昨日、無事に終わり今日から冬休み。
そして五条さんとの約束の日。
あの電話以来、五条さんとは連絡をとっていないが約束通り14時前に駅前に来た。
五条さんは「お洒落しなきゃ」なんて言ってたが正直、お洒落とは無縁過ぎてどんな格好をすれば良いかわからず普段通りの格好で来てしまった。
可愛い格好すれば良かったのか...今更ながら佳奈子に相談すれば良かったと後悔したが、変に気合い入ってると思われても嫌だし、次がある訳でもないし、さっさと出掛けてさっさと解散しよう!!ネガティブな気持ちを振り切って、五条さんとの待ち合わせまでまだ時間もあるしとりあえず本でも読んで待ってようと鞄からブックカバーの付いた本を出して栞を外して読み始めた。
『...はっ!!』
物語に集中してしまい時間を忘れてた。
腕時計を確認すると14時10分...遅刻かな。
周りを見渡すがあの身長なので目立つ彼が見えない...まだ着いていないのだろう。
それとも来ていたが私の格好を見て幻滅して声を掛けずに帰ってしまったとか...彼なら有り得ると思ってしまい、心の中が不安とストレスでモヤモヤしていたら突然、肩をガシッと掴まれてビックリして掴まれた方を振り向いた。
「やっほー、おまた〜」
『五条さん』
「ちゃんと時間通り来てたんだね、偉い偉い。もしかしたら来ないでバックレるかと思っちゃった。」
ビックリしている私を後目に五条さんは携帯を触りながら話しかけてきた。
私の中で真っ黒な制服姿が五条さんのトレードマークになっているせいか、五条さんの私服姿がすごく印象的でついつい見入ってしまった。
五条さんはブラウンのロングチェスターコートに白のハイネックニット、黒スキニーに革靴を合わせていた。
背丈もあるし、サングラス越しからも分かる彼の整った顔、更には高校生とは思えないお洒落な服。立っているだけなのに何かの広告塔?ってくらいに目立つ彼と私は今日一日、一緒に行動しなきゃいけないのか...
前途多難なスタートに小さなため息が出た。