第11章 9.5
「なんで?」
『色は真っ白で五条さんみたいだけど、この子の笑った顔、目が細くなって笑った夏油さんみたいでしょ?だから五条さんと夏油さん足して2で割った感じでワタル』
“ニィーッ”
そう呼ぶと目を細めて大きな声で猫は鳴いた。
決まり!!
そう言うと五条さんは少しだけブスッと顔を不機嫌そうに歪めた。
『なに?』
「いや、なんで傑が出てくんだよ」
『やっぱりゴジョーが良かったですか?』
「そーじゃなくて」
『良いじゃないですか、2人いつも一緒だし、2人の間をとってワタル』
「ンン〜、好きにしたら!」
そう言うと五条さんはクッションを抱いてゴロンとそっぽを向いてしまった。
拗ねたかと思うけど、そっぽを向く前にみた顔は少しだけ口元が緩んでいたのできっと恥ずかしくてそっぽを向いてしまったんだろう。
『五条さん』
「...」
『おーい』
「...」
返事をしてくれない。
子猫をお家に帰して、周りを見渡す。母は台所に立っててコチラに気が付いていない。
五条さんの耳元に少しだけ近付いた。
『悟さん』
そう呼ぶと五条さんは凄いスピードで起きあがってこちらを見た。
恥ずかしくて私は顔を逸らした。
「ねぇ!今のもう1回!」
『イヤ』
「なんで!イイじゃん!もう1回」
『無理』
「イイじゃん!俺も呼ぶから」
『いつも呼んでるでしょ』
「違うから聞いて」
フーッと息を吐いて、珍しくサングラスを外した五条さんがコチラを真っ直ぐ見た。
「カノンさん」
聞き慣れない呼ばれ方に一気に顔が熱くなった。
「ね?良いでしょ?」
『〜良くない!!』
「なんで!?」
いま絶対に私の顔、ニヤケてて気持ち悪い顔してる!
顔を両手で抑えてニヤケるのを抑えるが手を緩めると口元が緩んでしまう。
そんな事をしてる間に五条さんがクッションから手を離して今度は私のお腹に手を回してきた。
「無理じゃなくてもいいけどさ、俺は嬉しいからまた呼んで」
『...分かった。』
そう言うと五条さんは抱きしめる腕に少しだけ力を入れてきたので、了承する様に五条さんの肩に頭を預けた。
しかし、直後に母が台所で「ぁあー!!!」と叫ぶので慌てて五条さんを突き飛ばしてしまった。