第1章 キメツ学園 歴史教師
ー…
すっかり陽も落ちて、
部活動も終わり、校内は静まり返っていた。
そんな中、薄暗いというか、
真っ暗な廊下を走る人影があった。
よもや、よもやだ!
部活動を少し見て補習に戻ろうとしていた煉獄杏寿郎である。
部活中に生徒が怪我をしてしまい、病院まで付き添っていてたった今戻ったところだった。
急を要する事だったのでそのまま出てしまったが、はさすがに帰っただろうか…?
の居る教室へ行くと
電気は付いていないようだった。
一応中へ入り確認すると、
真っ暗な教室で眠っている生徒が一人。
…よもや。
煉獄は課題を引き抜いて確認する。
見事なまでに真っ白であった。
渡した時のままといっていいだろう。
よもやよもやだ。
、起きるんだ!
課題が真っ白だぞ!これでは帰れないな!
煉獄は声をかけながら
の頭をポンっと叩く。
しかし、は起きる気配がない。
再度声を掛ける。
今度は少し反応があったが…
ー…んっ…うぅーん…
小声で唸るとは寝返りを打った。
そのまま、机から落ちそうになる。
煉獄は咄嗟にの体を支え、
抱きしめるような体勢になった。
を抱きとめた際、
ふわりと甘い香りが鼻腔をかすめた。
自身の腕の中にすっぽりと収まってしまうほど、小さな身体。
しかし、温かく柔らかな感触。
普段なら何とも思わない筈が、
この時ばかりはひどく心が揺さぶられた。