第1章 キメツ学園 歴史教師
…はぁ…。
はひとり大きなため息をついた。
学校の授業はとうに終わり、
もう校舎には部活中の生徒くらいしか居ない。
のいる教室には、
他には誰も居ない。一人きりだ。
グラウンドから野球部の声が微かに聞こえる。
しかし、が帰る頃には、
恐らくは誰も居ないだろう。
私って、なんで歴史できないんだろ。
誰も居ない教室で、
一人課題を見つめながら呟く。
そう、は歴史で赤点を取ってしまい、絶賛補習中なのだ。
何故1人かというと、この学校の歴史教師であり
、学校一熱く、人望の厚い煉獄杏寿郎の受け持ちで赤点を取るものは他にいないからだ。
煉獄は部活に出なければならないので、は渡された課題と睨めっこを続けている…という事だ。
しかし、無情にも時間ばかりが過ぎていき、
課題は一向に埋まらない。
それどころか、ほとんど真っ白だ。
…分かんないよ…。
はまた大きなため息を吐くと、
机の上に突っ伏して目を瞑った。
グラウンドから漏れ聞こえる部活中の生徒達の声が、まるで子守歌のように感じられる。
分からないなりにフル回転させていた脳は疲れ切っており、が眠りにつくまで、そう時間はかからなかった。