第3章 火をつけたのは…
お願い…!それだけは…!
この店の店主であるの声だ。
声だけでも涙を流している事が容易に想像できた。
ただならぬ空気を察し、
煉獄は店の戸を蹴り倒していた。
!何かあったのか…っ!!
煉獄は目の前の光景に言葉を詰まらせた。
はあられもない姿でテーブルの上に転がり、宇髄は今にも挿入しようというところであった。
煉獄は怒りで額に血管を浮かべ、そのまま宇髄に飛びかかっていた。
宇髄はさっとズボンを上げると後方に飛び退いた。
煉獄、派手に邪魔してくれたな?
宇髄!貴様、見損なったぞ!
両者はしばし睨み合っていたが、
先に宇髄が口を開いた。
あー、なんだ、冷めちまったな。
、悪いな、また今度…な?
ここで喧嘩したらお互いタダでは済まないと判断してか、
宇髄はそのまま姿を消したのだった。
はテーブルに寝転んだままだった。
煉獄は、に近づくとそっと着物をかけた。
、宇髄が大変な事をした。
すまない…。
は、煉獄の声に安心したのか、
身体を震わせ涙を溢れさせながら抱きついた。
煉、獄さん…ありがとう、ございます…。
煉獄はを優しく包むように抱き返した。
もう、大丈夫だ。怖かっただろう…。
無事で…良かった。
正確には無事とは言い難い…
間一髪というところだが、操は守れた。
煉獄はから身体を離した。
今日は、もう帰った方がいいだろう。
戸を直しておくから、奥で着替えてくるといい。
は自身の格好を思い出し、
顔を赤くしてはいっと言うと慌てて奥へ向かった。
奥の間で着付けながら、自身の身体へと視線を落とす。
宇髄によってつけられた赤い跡が、先程の行為を物語っていた。
しかも、結果的には助かったが、それを想い人である煉獄に見られてしまったのが一番ショックだった。
あんな姿を見て、幻滅されたのではないか…と。