第2章 桜
『.....おうがん、の....ひとみ...?』
カラカラに渇いた喉から声を絞り出す。
『あぁ、気にしないで。こっちの話しさ。それよりさっき喰われたのは君のお母さんかな?他に家族は?』
桜眼の瞳について詳しく聞く気力も思考も無く、ただただ彼の質問に答える事しか出来ない。
『母です....他に家族はいません』
ふぅん、と相槌を打つと今度は「おばちゃんは?」と一言。
『祖母は....一度だけ会った事がありますけど..何処に居るのか、生きているのかも分かりません』
祖母とは幼い頃に一度だけ会った事があった。
幼い頃に一度、短時間会っただけなのに彼女の事は鮮明に覚えていた。
彼女は年を取っていたが、幼いながらにとても綺麗だと思った。
穏やかで優しく、そして何より
私と同じ瞳の色をしていたから。