第4章 クロユリ *
side 五条悟
あれから何度目の桜の季節だろうか。
彼女は周りに愛されながら立派に育っていますよ、マダム。
いよいよ2人は東京都立呪術高等専門学校へ2級術師として入学した。
夕食後2人に話があり恵の部屋へ向かっていると何やら言い争っているような声が聞こえてくる。
「_______!!」
『_______!!』
(......桃花?)
桃花が声を荒げるだなんて珍しい。
「ちょっと、ちょっと〜、何事?向こうまで君達の声が響いてたよ?」
本人達を見付けそう言うと、振り向いた桃花の大きな眼には今にも零れ落ちそうなほどの涙が溜まっている。
「ちょっと恵〜、桃花が可愛いからっていじめないでよ-。桃花可哀想-。こっちにおいで-?ほ〜ら、よ〜しよし〜。桃花の事をいじめるような悪い子は五条先生がボッコボコにしてあげますからね〜?」
桃花を抱き寄せ、頭を撫でながらジト目で恵を見てやる。
「................いや、ツッコむ箇所多過ぎてどこからツッコんだらいいのか分かりませんよ...。取り敢えず、何で俺が悪い前提なんですか。」
気に入らなさそうだね、うん。
僕の言った事が?それじゃなくて可愛い桃花が僕の腕の中に収まっている事かな?
「恵と桃花で何かあったら全部恵が悪いに決まってるでしょ!それじゃあ、恵は桃花が悪いって言いたいの?」
「........っ!.......そう言うわけじゃ.......」
恵が言葉を詰まらせると腕の中の桃花がもぞもぞと話し出す。
『悟、言い過ぎだよ....』
「そうだよね-?言い過ぎだよね-?ごめんね〜桃花〜」
「...露骨な依怙贔屓はやめて下さいよ。」
「冗談だぁって-。で、どしたの?」
『............恵が...高校生になったんだから一人で寝ろって...一緒に寝てくれないって..言った...』
涙声でまた僕の胸に顔を埋めながら言う。